原田コラム

2009/03/18

100年前の階段

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

ドイツのホテルの階段

これは、ドイツ フランクフルト郊外にあるホテルの階段です。
このあたりには、第2次大戦の戦火を免れて100年以上の古い建物がたくさん残っています。
このホテルもその一つです。
よく見ると、手前にはかなり以前に補修された跡があり、真ん中にも最近補修された箇所があります。
十分な厚みのある木材で作られた階段も、100年の間には傷みます。

ドイツのホテルの階段逆アングル

逆の角度から見ると、小さな節が落ちたところも丸く補修されているのが分かります。
器用に接ぎを当てるものです。
日本の場合は、丸ごと交換するか作り替えてしまうのではないでしょうか。
継ぎはぎで見栄えは良くありませんが、物を大切に使い続けるヨーロッパの堅実さを感じます。
建物は設計がしっかりしていると長く使うことが出来ます。
同様に、ジュエリーも構想が良いと、100年経っても十分に使うことが出来ます。

昨今、ジュエリー業界では作り替えビジネスが盛んです。
しかし、良い構想のもとで作られたジュエリーは、時代を超えて愛されるものです。

私がプロデュースしたジュエリーを100年後の誰かが身に着けている・・・そんな未来を目標に、これからも宝石の装身具を作り続けていきたいと思います。