〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
ジュエリーの説明で「メレーダイヤモンド」と言う言葉がよく登場します。
もともとmelee (メレー)とはフランス語で「大混雑」「雑踏」「ごった返し」と言う意味ですが、英語のdiamond(ダイヤモンド)と合成されて「小粒ダイヤモンド」の意味で使われています。
宝飾業界の方や弊社の社員からもよく「メレーダイヤモンド」の大きさの範囲について質問を受けますので、簡単にご説明します。
メレーダイヤモンドは、広義では0.3カラットサイズ未満、但し多くのプロが感覚的に使っているのは0.08カラットサイズ未満となります。
0.3カラット未満というのは、0.3カラット以上1カラット未満を「ポインター」と呼び、別に扱っているからです。
かつて0.3カラットサイズのロットは0.28カラット以上であったために0.27カラット以下と定義している方もいますが、現在、ロットは0.3カラット以上です。
では、裸石を扱っているプロも0.3カラット未満をすべてをメレーダイヤモンドと呼んでいるのでしょうか。
答えは、「No」です。
実際は、何分の一と言うサイズで表現します。
1/100 (0.01ct)
1/70 (0.015ct)
1/50 (0.02ct)
1/40 (0.025ct)
1/30 (0.03ct)
1/25 (0.04ct)
1/20 (0.05ct)
1/10 (0.10ct)
1/6 (0.15ct)
1/5 (0.02ct)
1/4 (0.025ct)
代表的なものは以上のような表現になります。
カッコの中は平均石目方です。
プロの間で「メレー」という言葉が全く使われないのかと言うと、そうでもありません。
業界の習慣では多くの方がメレーと表現するのは、0.08カラット(直径2.8ミリ)未満のものです。
これは、インドの取引でこのサイズを「メレーサイズ」と呼んでいることから来ています。
例えば、「メレーの1/30」とか「メレーの1/20」と言うように使います。
更にインドに買い付けに行っているバイヤーは、1/50(0.02ct)以下は「スターサイズ Star size」と分けて使います。
何れにしても大きなサイズ区分なので、「メレーサイズ」「スターサイズ」と言う表現を単独で使うのは、プロ同士の相場での会話に限定されます。
ムンバイ、アントワープ、テルアビブ等の取引では、業界の使っている篩い(ふるい:Sieveシーブと呼ばれている)の番号で表現されます。
これが、シーブです。
金属の輪に異なった大きさの穴が開いたプレートをセットし、ダイヤモンドを入れて篩います。
プレートに番号がついていて、以下のような表現で取引されます。
+7-8(プラス7、マイナス8)8番のプレートで落ちて7番のプレートで残ると言う意味。
一人前のバイヤーは、プレートの番号とその穴のサイズ、平均石目方は殆ど記憶しています。