〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
大空から指先に舞い降りた蝶をイメージしたダイヤモンドリングです。
前方に長さ約7ミリのペアーシェイプ、後方には縦横約5ミリのハートシェイプを使って4枚の羽を表現しました。
ファンシーシェイプの欠け易い先端の尖った部分を真ん中に集めて保護すると同時に外側を丸い輪郭にすることで優しい表情に仕上げました。
各々の羽を中心に向かってバランスよく傾斜させて躍動感を与えました。
中心の胴体部分には、マーキスシェイプの鮮明なピンクのダイヤモンドをアクセントに使いました。
羽に使われているダイヤモンドもアントワープで研磨された無色の透明度が高いものから厳選しました。
ベゼル(石座)を1段にすることと最低限の爪にすることでより多くの光を取り込み、全体を軽やかな印象にしました。
イエローゴールドのシャンク(腕)がプラチナのベゼル(石座)を際立たせています。
ローワーベゼル(指なじみ)を蝶型に抜いて遊び心を演出しました。
この指輪は、特注の婚約指輪です。
蝶のモチーフのリングをご希望と伺ったときはお断りするつもりでした。
一般的には、貴金属で蝶の形を作ってメレーダイヤ等をパヴェセッティング(彫り留め)して仕上げます。
そういったスタイルの装身具の殆どは、その時の流行が反映されるために時が経つにつれて飽きてしまいます。
ジュエリーのスタイルと宝石の使い方のご説明をしていくうちに、できるだけ大粒のダイヤモンドだけで蝶を表現するスタイルで納得していただき、仕事をお引き受けしました。
蝶のモチーフの他にピンク色、又は黄色の宝石を入れて欲しいことと、腕をイエローゴールドで仕上げてくださいとのご希望が反映されています。