〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
金の産出量で1番の国はどこでしょう。
南アフリカ?
オーストラリア?
米国?
このくらいが直ぐに浮かぶのではないでしょうか。
2007年の上位10カ国は以下の通りです。
ご覧の通り、1位は中国です。
2008年は、292トンと資源枯渇で減少が止まらない南アフリカ(233.3トン)との差が更に開いています。
何かと消費量の面で注目を浴びている中国ですが、金の産出量も世界一となっています。
主要国の多くが減産しているとは言え、今、金の産出国として真っ先に上げなくてはならない国は中国なのです。
古い情報は刷新しなくてはなりません。
加えて、今日の日経新聞の商品欄に、中国が金準備を積み増していると言う記事が載っていました。
世界トップの外貨準備高の中国が、その外貨準備内での金保有量を0.9%から1.7%に増やしただけで、金保有量が米国、ドイツ、フランス、イタリアに次いで世界第5位(除IMF)に上がりました。
記事はドル安が価格を押し上げる「反ドル資産」の金の保有を中国が積みましたことで米国をけん制しているとしています。
米国債はまとまった量を売れば急落になり、自国の損出にもつながるので金の保有に切り替えることもできないなか、産出金を積み上げた中国のやり方は最大の産出国ならではとは言えしたたかです。
私が気になったのは、外貨準備の内、金保有量の各国の割合です。
基軸通貨の米国の78.9%は除いても、ドイツ71.5%、フランス72.6%、
イタリア66.5%、スイス41.1、オランダ61.7とヨーロッパ諸国の外貨準備の多くが金の保有であることに比べて、中国1.7%と日本の2.2%の低さが際立っています。
日本の場合は円高阻止のための介入でドルを買った結果です。
その多くは米国債となって保有し、結果米国の過剰消費を支えてバブルを起こしたのは皮肉です。
中国のように自国の産出金を秘かに積みますことは出来ませんが、外貨準備の割合は何れ変更しなくてはならないでしょう。
円高から逃げない国づくりが必要です。