〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
12月1日(火)香港コンベンションセンターにてクリスティーズのジュエリーオークションが行われました。
落札総額US$ 48,001,545(約42億円)落札率89%(ロット数)、92% (金額)と言う好結果に終わりました。
リーマンショック後は取引総額こそ減少しましたが、中国を中心としたアジアの富裕層の購買意欲は衰えていません。
特に、より稀少性の高い宝石に人気が集中しています。
詳細は後日伝えますが、まずは上の写真、ピンクダイヤモンドのオークション速報をお伝えします。
実際に手にとって見ましたが、ブラジル産のような彩度が高く掛け値なしに美しいものでした。
オークションのメインのロットはオークションの最後に競られます。
今回は電話のビットが異例に高い指値を行って、ただならぬ雰囲気でオークションが始まりました。
暫くしてHK$39,000(US$5,000,000)の下限が簡単に破られ、この見積価格が意味をなさないことを悟るには長い時間は必要ありませんでした。
メインのロットはかなり高値の最低落札価格が設定されているので、バイヤーはごく少数に限られているのが一般的です。
今までは電話のビットの一人が最低落札価格に達するか否かを見守ることが殆どでした。
しかし今回は、ラストのピンクダイヤモンドを求めて、会場を含めてアジア各国の6~7人が電話で最後まで競り合いました。
この様な状況はごく珍しいことです。
度重なる応戦の結果、会場の中国人が競り落としたことが時代を反映していて印象的でした。
一般的に高額商品は電話のビットによる落札が殆どですが、本日のオークションでは会場の落札が多かったのが特徴です。
とはいえ、いずれ彼らも匿名性が必要になり、電話で応札してくるでしょう。
落札結果は、オークションにおける1カラット当たりのダイヤモンド価格とピンクダイヤモンドの世界記録になりました。
今回のピンクダイヤモンドのように本当に美しいものは殆ど存在しないので、この結果に惑わされずに相場を見る冷静な目も必要です。
○5.00 Fancy Vivid Pink VS1(Potentially flawless) Type2a by GRAFF
HK$83,540,000 ($10,776,660) $2,155,332/ct
約9億5,000万円(1カラット当たり約1億9,000万)
中国経済の力強さを見せ付けられましたが、バブル経済の頃、日本人がゴッホの絵を高額で落札したことや、ロックフェラーセンターを購入した記憶と重複するのは、杞憂であり、負け惜しみでないことを祈ります。
その他の主な落札結果は順次アップします。