原田コラム

2010/03/02

ピンクダイヤモンド原石

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

○Pink Rough Diamond
ファンシーカラーダイヤモンド原石
ファンシーカラー原石クローズアップ

ピンクダイヤモンドを含む珍しいオーストラリアのアーガイル(Argyle)鉱山産の原石です。
アントワープでは、タイミングが合えば様々な原石を見ることが出来ます。
但し、研磨業者は出来るだけ早くポリッシュ(研磨済み)にしなくては商売にならないので、原石の状態で手に取れるのは僅かな期間です。

アーガイル鉱山はもともとブラウンが大量に産出する鉱山です。
原石の状態で綺麗なピンク色のものもありますが、このようにブラウン味のあるピンクの原石からも稀に綺麗なピンクに仕上がるものがあります。
ソーイングや研磨の角度で生まれるファンシーカラーの世界は、カラーレスのダイヤモンドとは異なるノウハウを必要とします。
他の産地のピンクダイヤモンドもブラウン味はありますが、アーガイル鉱山のピンクダイヤモンドはブラウン味が強いのが特徴です。

特筆すべきことは、アーガイル鉱山はメレーダイヤモンドサイズで濃いピンク色を産出することで、他の鉱山では殆ど見ることが出来ません。
反対に2カラットを超えるような大粒で美しいピンクダイヤモンドの産出は、ブラジルや南アフリカ等の鉱山に軍配があがります。
このことは、ジンバブエのサンダワナ鉱山の小粒エメラルドと、コロンビア産の大粒エメラルドのサイズと美しさの関係に良く似ています。
ダイヤモンドにも鉱山ごとに特徴があります。