原田コラム

2010/05/25

問題の本質(続)

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

○保証書代わり

4Cが浸透すると、メーカーや小売店は自社(店)の保証書ではなく鑑別会社のレポートを保証書代わりにつけるようになりました。
協会とか研究所とかあたかも公的であるかような名称の機関が発行しているレポートは、責任が鑑別会社にあるように見えるので、都合が良かったのです。
消費者は、4Cで品質が判断できると店頭で教えられ、少しでも安い買い物をしようと美しさに関係なく安く見える表示のダイヤモンドに引き寄せられました。
その結果、少しでも甘いグレードを出すところに依頼が殺到し、「誰から買うかよりも幾らで買うか」と言う競争を生むことになりました。
小売店は鑑別会社のレポートに頼らず自社の保証書に誇りを持ち、販売したジュエリーに自社の刻印を打って責任を明確にすることが求められます。

○何が大切か

プロも宝石の美しさは、目で見て判断します。
ルーペを使うのは、肉眼で見えない大きさのものを「特徴」なのか「欠点」なのか判断するためです。
いかなる宝石もレポートでは美しさは分かりません。

更に大切なことは、裸石(ルース)の美しさが判断できたとしても、どのような装身具に仕立てるかで、ジュエリーの善し悪しが決まってしまうということです。
宝石の大きさによる役割の違いを理解することや、留め方や地金によって引き出される美しさが異なることを理解しなくてはなりません。

消費者にとっても「幾らで買うかより誰から買うか」が大切です。
お店選びで品質は決まります。
選ぶポイントは幾つかありますが、「値引きをしない」ことから商売の姿勢を判断できます。
「値引きをしない」のは値引きができるような価格を初めからつけていないので出来ないのです。
消費者も値引きに惑わされない覚悟が必要です。
また、誰が作ったか又は誰が売ったか消費者にも分かる刻印がジュエリーに打刻されている事と、メーカー又は販売店の保証書の内容を確認する事も、簡単に出来るお店選びの方法です。