〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
昨日Christie’s Hong Kongのジュエリーオークションが行われました。
結果は60.4百万ドル(約55億円)、落札率88.89%(ロット数)94.18%(金額)とリーマンショック以前に記録したピークに近い盛況ぶりです。
今回の特徴をまとめると以下の3点です。
1.稀少性の高ければ高いほど人気がある。
ダイヤモンドはいつでも人気のアイテムですが、5カラット未満で、D IFより稀少性が低いものはリザーブの設定が相当低くなければ買いが入りません。
反対に言うと美しさを見極めれば、十分大粒のダイヤモンドがリーズナブルな価格で手に入ります。
2.ヒスイが好調。ここ数年、ダイヤモンドやルビー、サファイアに比較して不落率が高かったヒスイが好調です。
中華系の方が好まれる宝石なので、中国本土の富裕層の間でオークションで購入することが広まってきたのかも知れません。
3.プライベートの旺盛な買い
リーマンショック以降プロは元気がなく、プライベート(一般の方)が活発に落札しています。
ますます貨幣に信用がなくなり、何かに換えておこうという方が増えています。
何と言っても、今回のハイライトはヒスイのビーズネックレスです。
〇Jadeite beads and Star Ruby Necklace
直径9.8mm~11.18mmのヒスイのビーズ51個と8.8カラットのスタールビーのクラスプがついた全長62.5センチのネックレス
落札価格(手数料込み): HK$ 56,660,000 (US$ 7,275,144) 約6億7,000万円
どの方向からも均一な色と透明度の揃ったビーズを集めるのは至難です。
ヒスイのアイテムで高品質のビーズは最も価値があるとされています。
ヒスイのビーズネックレスのオークション価格記録は1997年11月の同じくクリスティーズ香港で落札された直径15-16ミリで47センチのネックレスで、落札価格はHK$72,620,000(現在のレートで約9億2千万円)でした。
中華マネー恐るべしです。
しかし、オークションの担当者はこのビーズネックレスは、色味、濃さ、透明度、輝き共に過去最高の品質とコメントしています。
エスティメイトが$6,400,000~$10,000,000と本来この金額の出品はEstimate on Request(エスティメイトはお問い合わせ下さい)となるところですが、度胸良く公開されたところに担当者の自信が表れています。
もう一つ、ヒスイを紹介します。
一般的にラベンダーヒスイと呼ばれている藤色のヒスイです。
通常の品質のものは緑のヒスイと比べるとオークションでは評価が低くここではあまり紹介しませんでしたが、この紫のヒスイの透明度は抜群でした。
日本では、なかなかお目にかかれない品質です。
また、9ミリ近い高さがあり十分な肉厚です。
〇Jadeite Diamond Ring
Jadeite Cabochon size app.17.72×14.83×8.92mm
落札価格(手数料込み):HK$680,000 (US$87,656) 約800万円