原田コラム

2010/07/07

刻印の品質

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

Van Cleef & Arpels

Van Cleef & Arpels、丁寧に彫刻刀で彫られた文字が目に入った瞬間から査定も真剣モードに入ります。
手彫りの刻印はこのブランドの最上位のラインの証です。
知らずと見る方の背筋も伸びます。
幾つかのフランスのブランドは、このように刻印の方法で商品の上下関係を表現しています。

どのような方法でどの位気を使って刻印をしているかで、自ずからジュエリーの品質も決まってきます。
中途半端な品質のものに対して、熟練した職人は彫刻刀で芸術的に一文字ずつ彫る刻印は入れません。
費用もさることながら、その姿勢が刻印に表れます。

金属に彫られた刻印をハンマー等で叩いて入れる方法が一般的ですが、適度な圧力で真っ直ぐにバランスよい間隔を保って押されているかどうかでジュエリーの品質が伺えます。
メーカー刻印のほか、Pt950、K18等の金性、石目方等の数字と順番を決めてバランスよく入れていくのは容易くはありません。

原型に打ったものを仕上げたり、レーザーで入れてあるものはサインを印刷しているようなものでアクセサリーレベルと判断されても仕方ありません。

メーカー刻印のないもの、あったとしても略号で判断できないものは、その真贋すら疑われます。

刻印の有無、方法、丁寧さを見ることは、一般の方でも出来るジュエリーの品質判断の有効な方法です。