原田コラム

2010/09/08

「専門家」の時代

〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。

 

西武有楽町店

子供の頃、百貨店の上層階にある大食堂に行くのが楽しみだった。
和洋中何でも揃ったメニューに胸を躍らせた。
まだ貧しかった日本では百貨店の大食堂で食事をすることが贅沢だった。

現在その場所はそれぞれの料理の専門店を集めたレストラン街に変身している。
当時のノスタルジーを求める向きに、残っているところはあるだろうが、外食の第一線からは外れている。
経済的に豊かになって人々の舌が肥え、専門店同士の競争も激しくなった今、中途半端な品質では生き残れない。

今日、メディアが伝えたところでは、西武百貨店有楽町店がファッション・雑貨の専門店を集積したルミネに変わるそうだ。
百貨店から専門店へと消費の質が変わった象徴的な出来事だ。
購買力の低下に伴った低価格化が後押しして専門店化が進んでいるが、本質は「品揃え」からその分野の「専門化」ではなかろうか。
専門店であっても旧態然の品揃えだけでは同じ結末だ。
百貨店も「専門化」を図ることが出来れば、一ヶ所で買いものが叶う便利なところなので今後も必要とされるだろう。

「専門化」で一番大切なことは「専門家」の存在だ。
「商品の品質を見極める力」、「分かりやすく伝える力」、「価値に見合った価格をつける力」、に加えて「お客様の立場にたって親切に相談に乗れる力」が専門家として求められている。
成長過程の異常な好景気が終わり、成熟した国の普通の景気の中での道筋が見えてきた。