〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
○The Delaire Sunrise
118.08カラット
エメラルドカット
Fancy Vivid Yellow
VS1
1980年代からファンシーカットのカット形状は色溜まりの良さからプリンセスカットの割合が徐々に増えてきました。
プリンセスカットは、ガードルの下にカラーストンのバルジのような溜めを作ってからキュレットに向かってファセットを作るので、原石からの歩留まりが非常に良く、また色を増幅する効果があります。
研磨のプロがこの大粒のダイヤモンドのカットにエメラルドカットを選んだ段階で、間違いなく美しいFancy Vivid Yellowを得る自信があったことが容易に推測できます。
もし色の濃さに不安があれば、プリンセスカットかガードルの下にエクストラなファセットを作ったカットにされる可能性が大きかったと思います。
また、エメラルドカットのプロポーションが、横からの写真とGIAのGrading Reportから確認できます。
ガードル下の1段目のファセットの角度は若干緩やかですが不自然なほどではありません。
エメラルドカットのトータルデプス%は65%前後が多いのですが、このダイヤモンドは70.2%と少し深めです。これはガードル下のファセットの角度と同様、110カラット以上を維持するために不可欠だったことと許容できます。
Vivid Yellowは稀少なのでプリンセスカットを選択することも否定しませんが、私は表記が同じならプリンセスカットとノーマルなエメラルドカット(ステップカット)の価値は大きく差があって当然だと考えます。
元々の素材の品質が異なる場合が多いからです。
このような観点でファンシーカラーを見るとより興味が湧いてきます。