〜ジュエリーコンシェルジュ原田の宝石コラム〜
宝石の価値判定の最前線で働いてきたジュエリーコンシェルジュ原田が
世界のジュエリー業界の動向についてご紹介いたします。
「飛び台は避ける」と言っても、プールの飛び込み台は怖いので近づかないといった意味ではありません。
「飛び台」を辞書で引くと「相場で、大台(おおだい)のこと。100円を飛び台とすると、108円を「一〇〇とび八円」などという類。」とあります。(三省堂 大辞林)
もとは相場で使われていた言葉です。
宝飾業界でも「飛び台」を使います。
1カラット、2カラット、3カラット・・・カラットの大台を超えて次の10分の1カラットを超えないものを指します。
1.00~1.09や2.00~2.09や3.00~3.09カラットが「飛び台」です。
業界では「飛び台」に拘ります。
特にダイヤモンドのように単価(1カラット当たりの価格)が高い商品は、僅かな石目方の差が店頭価格に大きく影響するので神経質になります。
同じカラー、クラリティーで1.00と1.10カラットでは1割高に、1.20カラットでは2割高に感じられ販売が難しいと信じているためです。
実際は、1割、2割増しに大きくなるケースが殆どなので割高ではなく、カラットを大きさの基準にしているため生じる誤解です。
これらの誤解も直径や縦横の寸法を基準にすれば解けますので、お店で寸法を確認することが大切です。
私は業界の常識とは反対に「飛び台」でないものを優先して買い付けをします。
1.00カラットのようにギリギリに仕上げたダイヤモンドは直径が足りなかったり、どこかに研磨に無理があるものが多く、効率から「飛び台」でないものから見ていきます。
研磨業者は、歩留まりから出来るだけ大台に乗せる努力をしますので、結果的に市場には「飛び台」が多くなります。
反対に大台を切るような目方のものはカットが良い確率が高くなり積極的に買いますが、実際にはあまり存在しません。
1.25~1.49、1.75~1.99、2.75~2.99・・・このような石目方で美しいものはお買い得です。
サイズは重さ(カラット)ではなく、寸法が大切です。
「重たい宝石」より「大きい宝石」を選んでください。
写真は、2、1、0.7、0.5、0.3カラットサイズのダイヤモンドを並べてみました。